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5-1. コンセプトの考え方

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

ビジネスで使われることが多い「コンセプト」という言葉。

巷のラーメン屋やカフェ、パン屋などいずれにも、一つずつコンセプトがあります。

一方、日常生活でも何気なく口にする「テーマ」という言葉。

 

この二つの言葉は似たような使われ方をしますが、ニュアンスは異なります。

ここではコンセプトの「意味」や「必要性」「作り方・考え方」、そして「“テーマ” との違い」について解説します。

コンセプトの意味とは?分かりやすく解説します

コンセプトは英語の「concept」をカタカナ読みした言葉。

 

「concept」には概念・発想・構想などの意味がありますが、日本で使われる場合も同じニュアンスで使われます。

ただし日本において使われる場面は、広告・作品・店舗・料理など「意図のある制作物」を創る際に「ベースとする考え方・構想」のことを言います。

もう少し分かりやすく言うと、「全てがブレないような一貫した考え」です。

 

例を出してみましょう。

飲食店の店舗での例

たとえばラーメン屋において「小さい子どもと一緒でもくつろげる、ママにも優しいラーメン屋」というコンセプトを掲げているのであれば、

  • 子ども用メニューがある
  • ファミレスのようにドリンクバーがある
  • すべてがソファ席である
  • 子どもを遊ばせられるスペースがある
  • 授乳室がある
  • 糖質0gの麺が選べる
  • オシャレな器で出てくる
  • 臭いが気にならないメニュー構成である

 

などなど、そのコンセプトに沿った内装・設備・接客を用意するハズです。

 

このコンセプトにも関わらず「カウンターのみの店舗」を作ってしまうと、それはコンセプトから大きく外れることになります。

このように「終始一貫させる考え・構想」のことをコンセプトと言います。

ほかにも使われる「コンセプト」という言葉

コンセプトは「コンセプト+●●」という言葉で使われることも多々あります。

コンセプトカー

コンセプトカーとは、各自動車メーカーが「今後の技術・デザインの方向性」を表現するために制作されます。

もちろんこれらの車は「一貫した考え方」「一貫した方向性」をもとに、制作されています。

コンセプトカフェ

先ほどのラーメン屋の例と変わりませんが、「特定の世界観」を前面に押し出して、同業種と差別化を図っているカフェの総称を「コンセプトカフェ」と言います。

分かりやすいのが「メイドカフェ」ですが、そのほかにも

  • 病院の待合をイメージしたカフェ
  • 「不思議の国のアリス」の世界に入り込めるカフェ
  • 多くの絵本が読めるカフェ
  • 縄文時代の雰囲気を味わえるカフェ

 

などなど、さまざまなコンセプトを元にしたカフェが存在しています。

ブランドコンセプト

ブランドコンセプトとは「そのブランドが実現する価値を、具体的な言葉にしたもの」。

言い方を変えると「どんな価値をどのような想いで提供しているのか」を伝えるものです。

 

たとえばスターバックスは「家庭でもなく職場でもない第3の空間」がコンセプト。

職場はもちろん家庭でもゆっくりと出来ない人は多く、そのような人々がくつろげる空間を創り出しています。

ちなみにconceptの語源はラテン語の「con(強調の接頭語) + capere(ぐっと掴み取る)」と言われており、このことからも「物事の根本を捉える考え方」というニュアンスであることが分かります。

「コンセプト」と「テーマ」は何が違うのか?

コンセプトと似たような意味合いで使われるのが「テーマ」という言葉です。

コンセプトの意味は「概念」であり、テーマの意味は「主題」

 

この二つは、大前提として使われるシーンが異なります。

  • コンセプト ⇒ 主に「制作」「商品マーケティング」に使われる
  • テーマ ⇒ 芸術作品に対して使われることが多いが、制作物に限らず「議論の主題」を指すこともある

 

「コンセプト」にはマーケティング戦略や広告作成における「他社との差別化」を前提とした、「終始一貫させる考え・構想」というニュアンスが強いです。

 

一方の「テーマ」については、たとえば『今日は少子化をテーマに議論しよう』とは言いますが、『少子化をコンセプトに議論しよう』とは言いませんよね。

 

つまりテーマという言葉は、単に「主題として取り上げる物事」を指す場合が多いです。

「テーマパーク」はコンセプトではないのか?

とは言え「テーマパーク」のように、一つの世界観(テーマ)をもとにしてアトラクションが創られている場合があります。

 

これによって『“コンセプトカフェ” と同じように “コンセプトパーク” とも言えるのでは無いのか?』という疑問が沸く方もいらっしゃるでしょう。

 

実際、「テーマカフェ」という言葉が使われている事からも分かるとおり、「テーマ」と「コンセプト」は混同されてしまうことが多いです。

 

それもそのハズで、コンセプトとテーマという2つの言葉の違いは、多くのサイトやツイッターでも議論されていることからも分かる通り、使われるシーンや捉え方で変わります。

 

たとえば、『テーマがあり、そのテーマを構成する要素がコンセプトである』という考え方を示す人もいれば、『テーマとコンセプトは全く関係しない』『テーマは構成された後に湧いてくるものだ』という考え方を示す人もいます。

 

つまり細かい点まで議論すると「明確な答え」がないことと、このページの主題は「コンセプトとは何か?」であるため、ここでは割愛します。

 

少なくとも「コンセプト」という言葉は、マーケティング戦略・広告作成において「終始一貫させる考え・構想」というニュアンスで使われるということを覚えておけば良いでしょう。

 

店づくり・商品づくりにおいては、「テーマ」よりも「コンセプト」という言葉が適します。

そもそもなぜコンセプトが必要なのか?

「コンセプトの作り方・考え方」の説明の前に、コンセプトの必要性について触れておきます。

 

中には『コンセプトなんていらないのでは?売れたらなんでもいいよ』という方もいらっしゃるでしょう。

実際、ビジネスにおいてはコンセプトなど小難しいことは考えずに「丸パクリ」「トレンドにのる」で商売が成り立つこともあります。

 

たとえば2019年に「タピオカブーム」が起きましたが、「インスタ映えしている商品を模倣する」「若い女性がいる場所へ出店する」だけを考えて成功させた人がいます。

 

この「トレンドに乗る」は一つの正攻法ではありますが、長く続くものではありません。

 

一方で「ブームが起きていないジャンルでのビジネス」を考える時に必要なのが「商売として成功させるための戦略」であり、そのうちの一つが「コンセプト作り」でしょう。

 

コンセプト作りには以下の様なメリットがあります。

  1. 「ビジネスとして成り立つのか」が明確になる
  2. 創る過程でブレが起きない
  3. コンセプトが強力なキャッチコピーになることがある

 

コンセプトを作るメリット
①:「ビジネスとして成り立つのか」が明確になる

コンセプトを作成する中で、「いつ」「どこで」「何を」「なぜ」「誰に」「どのように」を考えて、そのビジネスが成り立つのかを考えます。

 

極端な例を出すと、地元愛の強い人が『俺は生まれ育ったこの地で二郎系ラーメン店を開業するんだ!』と意気込んでも、その街が「ほとんど若者がいない町」であれば、ビジネスとして成立しない可能性が高いです。

 

ビジネスは「需要と供給」で成り立ちますので、まずは「需要があるのか」を知る必要があります。

さらに需要があっても他社と同じ価値しか提供できないのであれば、価格競争に巻き込まれます。

 

そのため、コンセプトを作る中で「強み・独自性」を明確にしていきます。

コンセプト作りではこれらの過程を踏まえるため、「ビジネスとして成り立つのか」の再確認ができます。

コンセプトを作るメリット
②:創る過程でブレが起きない

コンセプトは「終始一貫させる考え・構想」です。

つまりお店でも商品でも、創る途中に起こり得る「ブレ」が発生しなくなります。

 

要は「どんなことをすれば良いのか」がはっきりとしてきます。

 

たとえば先ほど出した「小さい子どもと一緒でもくつろげる、ママにも優しいラーメン屋」というコンセプトの場合、テーブルの上はなるべくスッキリさせた方が良いですよね。

 

なぜなら、子どもが醤油や酢などを触ったり倒したりする可能性があるからです。

つまりメニュー・提供方法を考える段階から、「子どもがいる」という前提で考えるため、後戻りが発生しにくくなります。

 

このようにビジネスを行う上で発生する様々な物事に対して、「終始一貫した考え」を持っておくことで、余計なブレを回避することが出来ます。

コンセプトを作るメリット
③:コンセプトから強力なキャッチコピーが生まれることも

『私のお店のコンセプトは●●です!』と、堂々と明示する必要はありません。

 

またコンセプトは社内の人(+関係している人)でしっかりと理解・共通認識され、行動に移せるものであることが理想。

つまり「キャッチーなコピー」にする必要はありませんし、そもそもキャッチコピーとは別物です。

 

しかしコンセプトがあれば「強み」も見えてきますので、それは当然「販促時の強み」にも繋がります。

分かりやすい例が、ダイソン掃除機の「吸引力の変わらない、ただ一つの掃除機」でしょう。

 

家電量販店の店員も『吸引力で言えばやはりダイソンが一番です』と言っていましたが、「コンセプトから生まれた軸の考え」に沿って「吸引力」にはとことん追求しているようです。

さらに「たったひとつの」という言葉から、差別化・独自性も図れていますね。

 

誤解のないように補足しておくと、上記のダイソンについてはコンセプトと言うよりは「キャッチコピー」です。

コンセプトはプロジェクトメンバー(関係者)間に向けたものであり、アイデアの発想を広げつつ、方向性を定めるもの。

キャッチコピーは「消費者に向けた記憶に残りやすいフレーズ」です。

 

コンセプトの作り方・考え方を解説します!

コンセプトの作り方に正解はありませんが、抑えておくべきポイントはいくつかあると考えています。

コンセプト作りのヒント
①:まずは「誰に何を届けたいのか」を考えよう

コンセプトは自社(関係者)のために作るものですが、その目的は「誰にどのような価値を、どのような形で提供するのか」を明確にするためです。

 

一般的には5W1Hである「いつ」「どこで」「何を」「なぜ」「誰が」「どのように」を考えれば良いのですが、特に必要なのは「誰に」です。

これは「5W1H」ではなく「7W1H」にある【Whom(だれに)】に当てはまります。

 

「誰のために価値を提供するのか」が明確にならなければ、「誰にも刺さらないモノ」になります。

そのためターゲットの母数が落ちたとしても、出来るだけ絞る方が良いです。

 

このページで何度か例として挙げている「小さい子どもと一緒でもくつろげる、ママにも優しいラーメン屋」であれば、ターゲットは「男性」ではなく「子連れのファミリー」です。

 

当然「男性」という大きな枠と見比べるとターゲットは狭まりますが、その少ないターゲットには刺さり、お店を選んでもらえる確率は高まります。

 

「誰にでも喜ばれるコンセプト」では全てが中途半端になり、却って「誰にも選ばれないモノ」になります。

あれもこれもと欲張らず、【朝専用ワンダ】のように一点に集中しましょう。

コンセプト作りのヒント
②:価値を提供すべき「負の要素」を調べよう

「誰に提供するのか」を考える時には、併せて「負の要素」を調べると良いです。

 

これは5W1Hに当てはめると「なぜ」に当てはまります。

「負の要素」とは簡単に言うと、「既存の業界・商品に関する不満点」。

 

例に出している「ママにも優しいラーメン屋」は、

【ラーメンを食べたいけど “回転率が命” のラーメン屋において、子供がいても周りの目を気にせずのんびりと過ごせる場所がない】

という既存業界への不満があると仮定して、コンセプトにしています。

 

※この潜在的ニーズが実際にあるのかは分かりません。ここではあくまで分かりやすく一つの例として挙げています。

 

「もっとこうなれば良いのに」という負の要素をしっかりと調べてコンセプトに当て込むことが出来れば、他社との差別化に繋がるでしょう。

コンセプト作りのヒント
③:モノではなく価値を届ける意識をもつ

有名な言葉で「ドリルを買いに来た人が欲しいのは、ドリルではなく穴である」というものがあります。

 

これは「穴をあけたい」というニーズに対してドリルという「手段」があるだけで、本当に求めているものは「問題解決」であるということ。

つまり「手段」ではなく、「問題」と「問題解決」を考えていくことが大切です。

 

たとえばスターバックスは「Third place(家庭でもなく職場でもない第3の空間)」をコンセプトに掲げています。

「くつろげる空間を作ること(価値の提供)」を大前提に考えており、コーヒーの提供はその1手段でしかありません。

 

同様にまず最初に考えるべきは、「価値を届けること」と「そもそも価値を感じてくれる人がいるのか」ということ。

無理に「5W1H」や「7W1H」の全要素を考えなくても良いと思います。

中にはシンプルに “コンセプトとは「What(何を)」「How(どのようにするのか)」を明確にしたものである” と言う人もいます。

 

正解はありませんので、“よくわからない” という方は「終始一貫させる考え・構想」であることを思い出しましょう。

行動に繋がらないよりは、自分の中で単純化して行動に移す方が良いです。